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『人工知能と経済の未来』を読んで その2

· 書籍紹介,AO入試,キャリアデザイン

矢浪です。私の方は、AO入試・推薦入試以前の段階を踏まえて、ご自身の関心分野を見つけられる上で、書籍紹介を含めて、参考になりそうな話題を中心にお届けしております。

 

今回は、井上智洋著『人工知能と経済の未来』(文春新書)の第2回目ということで、まず、人工知能の方を中心にご紹介させていただければと思います。

 

おそらく、皆さんは、AIに関する最新的なトピックは、私以上にご覧になられていらっしゃると思いますので、ここでは、抽象的ではありますが、体系的な研究の成果として、この本に書かれているポイントを取り上げ、それから、これに関連した私なりの補足をさせていただければ幸いです。

 

人工知能に関しては、まず、人間の脳を真似た汎用AIの開発を進めることが中心的な課題ですが、そのアプローチとして、人間の脳を分子レベルでコピーして再現する全脳エミュレーションと、人間の脳の持つ機能に注目し、個々の機能をプログラミングにより開発し、それらを統合する全脳アーキテクチャという二つのアプローチがあるとのことです。

 

そして、いま世の中に出回っているAIに関しては、ほとんどが、全脳アーキテクチャ型で、全脳エミュレーション型は、人間の脳の神経細胞レベルの解明が、まだ、始まったばかりらしく、今世紀前半の実現は難しいようです。

 

このように整理すると、この人工知能に関する問題は考えやすく、今世紀前半は、コンピュータシステムやそれを機械に実装したAIロボットが人間の仕事を奪うという枠組みでの懸案の解決が中心となり、今世紀後半になると、より高次元の問題に直面するという構図になってきます。

 

全脳アーキテクチャ型では、システィマティックな仕事はやりやすいのですが、例えば、人間の体感も生徒さんに伝えなければならないヨガの先生のような仕事は、どう逆立ちしても務まらないというも、うなずけます。

 

また、将棋での対戦自体は、究極には、ロジックの勝負ですから、人間に勝てても、困ったときに、将棋盤をひっくり返すという感情的な対応はとれないということも、もっともに感じられます。

 

人間とAIロボットとの優位が逆転するというシンギュラリティの問題も、もちろん、この両方のアプローチに関わってくるのですが、人間の感情を持つAIロボットと生身の人間の対立があるとすれば、それは、おそらく今世紀後半以降のことであり、当面は、人間の脳を機能面で模擬したAIやそれを搭載したロボットの扱い方を中心に考えていけばよいということです。

 

それは、大きな意味では、これまでも人間がOA化により、一部の労働者を削減してきたように、今後は、これが知的にはより高度なAIロボットに置き換わるということで、経営者側から見た場合は、AIの有効活用という当然の職務の遂行に過ぎないことが、労働者側から見たら、非情にも職を奪われてしまうという構図には変わりはありません。

 

実は、最近、このような人間とAIとの優位の逆転が顕著にみられる分野があります。

 

さて、それは、いったいどこなのでしょうか?

 

これにつきましては、来週、取り上げますが、宿題とまではいいませんが、皆さんも、せっかくの機会ですので、次回までに考えていただければ幸いです。

 

また、AO入試・推薦入試の関りでは、全脳アーキテクチャ型AIにつきましては、コンピュータ・サイエンス、人間の脳を分子レベルでコピーして再現する全脳エミュレーションに関しましては、化学、生物学、医学にも深く関わってきそうですね。

 

皆さんもご関心のある分野がある場合には、Web検索や図書館、大きな本屋さん等で、このAIとの絡みでどのような研究がなされているかをあれこれ調べて見られるとよいかもしれません。

 

例えば、全脳アーキテクチャ型AIにしても、機能面に関しては、ディープ・ラーニングを含めて、既に人間の脳に関する医学的な研究の成果を反映しているといってよいでしょう。

 

これらの分野に関心を持たれている方は、今回の話とのつながりをもう少し掘り下げて考えてみられるのもよいかもしれません。

 

今回は、地味で、抽象的で分かりにくかったかもしれませんが、実を言いますと、この全脳エミュレーションと全脳アーキテクチャといった二つのアプローチを区分したことが、私が、この本の全体を読んで、一番、参考になった点です。

 

このような卓抜な整理の仕方により、例えば、AIロボットが人間を襲うというSF チックな事態は起こるとしても、それは、おそらく今世紀後半あたりのことで、今世紀前半は、人工知能自体や人間がこれをどのように活用していくかということの研究以外には、人間とAIとの棲み分けや共存、悪用防止の方が中心課題になることが明確になります。

 

これをご覧の皆様は、あまりご存じないかもしれませんが、かつて『猿の惑星』というショッキングな映画があり、今後は、これに類似した『AIロボットの惑星』のようなモチーフでの映画も少なからず出てきそうですが、上記の区分で整理して考えれば、このようなものをご覧になっても、さほど慌てずに済むのではないでしょうか?

 

この本でも全脳エミュレーションについては、倫理的な問題が出てくる恐れからか、世界平和のために国際条約により、禁止にするほうが望ましいことまで触れられていますが、その賛否はともかく、このような区分により、考えを整理したことにより、今後の見通しが立てやすくなったという点で評価に値するとも感じられます。

 

 

さて、次回は、最近、特に、人間とAIとの優位の逆転が顕著にみられる分野について、具体的に考察しつつ、人工知能について、今回、触れなかった点についても補足してみたいと思います。

 

おそらく、多くの方にとっては、次回の方が面白いかもしれませんので、是非、ご覧いただければ幸いです。

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