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『人工知能と経済の未来』を読んで その5

· 書籍紹介

矢浪です。私の方は、AO入試・推薦入試以前に常日頃から、ご自身の関心分野を見つけられる上で、参考になりそうな話題を中心にお届けしておりますが、今回は、井上智洋著『人工知能と経済の未来』(文春新書)の第5回目です。

 

前回と前々回は、この本から少し離れ、これまで、最近のAI の急激な進展により、多大な影響を受けた知的ゲームの世界、特に将棋界に関して触れてきましたが、今回からは、いよいよ、この本の本題でもあります人工知能の実用化の進展と今後、求められる経済のパラダイムとの関係について、考えてみたいと思います。

 

また、この連載の「その2」では、上記の本で取り上げているユニークなポイントについて触れてきましたが、今回は、まず、全体の見通しを得ていただくために、大まかには全体で何を言わんとしているかを私なりに紹介させていただいてから、注目すべき論点をいくつか見ていくことにしましょう。

 

おそらく皆様も細かいところで疑問が出てくる場合があるかもしれませんが、まずは、大雑把に、今後、起こりうる状況を概観してから、次回以降で私も含めて誰もが感じそうな疑問に対してこの本に書かれているポイントにも触れながら、自問自答させていただきます。

 

まず、今後、数十年間もAI を中心とした技術の高度化やその実用化のさらなる進展が続くことにより、産業全体の生産性も著しく向上します。

 

ただ、これにより、社会全体が豊かになり、人々の生活も快適になるはずですが、そう簡単にはいきません。

 

それは、AIの実用化が進展したり、これを応用したAIロボットが活躍し出したりしますと、AIロボットに置き換わる仕事をされている方を中心として、無視できないほどの割合を占める労働者の方が職を失うためです。

 

例えば、現在、人口の約半数の方が仕事をされているとしますと、2045年くらいには、それが、人口の約1割にまで減ってしまうという試算もあるようです。

 

特に、現状の経済システムを前提とした場合は、職を失った労働者の方は賃金を得られなくなり、この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんどですから、多くの方が生活できなくなってしまうという悲惨な状況が引き起こされてしまいます。

 

さて、それでは、いったいどうすればいいのでしょうか?

 

(これは、この本では、あまり触れられていなかったような気がしますが、)もちろん、人の仕事を奪ってしまうAIロボットの使用を制限する方向性も考えられそうです。

これはこれで、有力な考え方かもしれませんが、少し後ろ向きのような気がします。

それでは、これ以外の方法は考えられないのでしょうか?

 

そこでヒントですが、先程、私が書かせていただきました「現状の経済システムを前提とした場合は、賃金を得られなくなり、この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんどですから、多くの方が生活できなくなってしまう」にもう一度、注目してみてください。

 

ここで着目すべきは、「現状の経済システムを前提とした場合は、」や「この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんど」の部分ですね。

そうですね。将来的には、必ずしも現状の経済システムを維持する必要はなく、経済全体の仕組みとして、AIロボットに仕事を奪われた方に関しては、たとえ賃金収入がなくても、モノやサービスを消費することができるようにしていけば、この問題は解決します。

 

冒頭でも触れましたようにAI を中心とした技術の進展により、産業全体の生産性も著しく向上し、社会全体が豊かになっているはずですから、現状の経済システムを改革し、このように富が分配されるような経済の仕組みをとりいれていけば、この問題に関しては、これにて一件落着ということになりそうですね。

 

そして、この本では、このような次世代の経済の仕組みの代表格でありますベーシック・インカムの導入が推奨されています。

 

極端なことを言えば、AI ロボットが我々のかわりに仕事をしてくれるのだから、我々は、別に仕事をしなくても、農作物も含めてAI ロボットが作り出したものや、AI ロボットが提供するサービスを享受するだけで生きていけるということになるかもしれません。

 

また、これは、すべての方が仕事をしないというわけでもなく、政府が限りなく技術開発を支援しつつ、産業が生産性向上や経営の合理化に努め、効率化も進めることにより、結果として、約一割の方が、社会が必要とする仕事をし続け、そうでない方が自然の成り行きで、仕事をしなくてよくなったのにすぎませんから、さしあたっては、特に問題もなさそうです。

 

ただ、これは、これで芳しいことではありますが、果たしてこう簡単にいくのかという疑問も出てきそうですし、また、それ以上に、もし、このような仕組みが導入されたとしても、考えなければいけない問題が浮上してきそうですね。

 

さて、それは、いったいどのような問題でしょうか?

 

これは、医学部志望の方にもまったく無関係ではありませんが、AO入試・推薦入試の対策を前提とすれば、特に経済学部を志望される方には、このベーシック・インカムのような仕組みが導入されるにしても、その途中の過程で予測される状況を掘り下げて考えていただきたいところですし、また、このような仕組みの導入後に発生しうる究極的に考慮すべき問題に関しましては、大学の学部で言えば、文学や哲学といった人文学部(文学部)に近いところの視点も重要になってくるかもしれません。

 

これらにつきましては、次回までの宿題として、皆様にも考えていただければと思いますが、次回以降は、その他の学術的な補足やエピソードも含めて、これらの問題をもう少し掘り下げてみていきましょう。

矢浪です。私の方は、AO入試・推薦入試以前に常日頃から、ご自身の関心分野を見つけられる上で、参考になりそうな話題を中心にお届けしておりますが、今回は、井上智洋著『人工知能と経済の未来』(文春新書)の第5回目です。

前回と前々回は、この本から少し離れ、これまで、最近のAI の急激な進展により、多大な影響を受けた知的ゲームの世界、特に将棋界に関して触れてきましたが、今回からは、いよいよ、この本の本題でもあります人工知能の実用化の進展と今後、求められる経済のパラダイムとの関係について、考えてみたいと思います。

また、この連載の「その2」では、上記の本で取り上げているユニークなポイントについて触れてきましたが、今回は、まず、全体の見通しを得ていただくために、大まかには全体で何を言わんとしているかを私なりに紹介させていただいてから、注目すべき論点をいくつか見ていくことにしましょう。

おそらく皆様も細かいところで疑問が出てくる場合があるかもしれませんが、まずは、大雑把に、今後、起こりうる状況を概観してから、次回以降で私も含めて誰もが感じそうな疑問に対してこの本に書かれているポイントにも触れながら、自問自答させていただきます。

まず、今後、数十年間もAI を中心とした技術の高度化やその実用化のさらなる進展が続くことにより、産業全体の生産性も著しく向上します。

ただ、これにより、社会全体が豊かになり、人々の生活も快適になるはずですが、そう簡単にはいきません。

それは、AIの実用化が進展したり、これを応用したAIロボットが活躍し出したりしますと、AIロボットに置き換わる仕事をされている方を中心として、無視できないほどの割合を占める労働者の方が職を失うためです。

例えば、現在、人口の約半数の方が仕事をされているとしますと、2045年くらいには、それが、人口の約1割にまで減ってしまうという試算もあるようです。

特に、現状の経済システムを前提とした場合は、職を失った労働者の方は賃金を得られなくなり、この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんどですから、多くの方が生活できなくなってしまうという悲惨な状況が引き起こされてしまいます。

さて、それでは、いったいどうすればいいのでしょうか?

(これは、この本では、あまり触れられていなかったような気がしますが、)もちろん、人の仕事を奪ってしまうAIロボットの使用を制限する方向性も考えられそうです。

これはこれで、有力な考え方かもしれませんが、少し後ろ向きのような気がします。

それでは、これ以外の方法は考えられないのでしょうか?

そこでヒントですが、先程、私が書かせていただきました「現状の経済システムを前提とした場合は、賃金を得られなくなり、この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんどですから、多くの方が生活できなくなってしまう」にもう一度、注目してみてください。

ここで着目すべきは、「現状の経済システムを前提とした場合は、」や「この賃金収入を中心としてモノやサービスを消費することにより、生計を立てている方がほとんど」の部分ですね。

そうですね。将来的には、必ずしも現状の経済システムを維持する必要はなく、経済全体の仕組みとして、AIロボットに仕事を奪われた方に関しては、たとえ賃金収入がなくても、モノやサービスを消費することができるようにしていけば、この問題は解決します。

冒頭でも触れましたようにAI を中心とした技術の進展により、産業全体の生産性も著しく向上し、社会全体が豊かになっているはずですから、現状の経済システムを改革し、このように富が分配されるような経済の仕組みをとりいれていけば、この問題に関しては、これにて一件落着ということになりそうですね。

そして、この本では、このような次世代の経済の仕組みの代表格でありますベーシック・インカムの導入が推奨されています。

極端なことを言えば、AI ロボットが我々のかわりに仕事をしてくれるのだから、我々は、別に仕事をしなくても、農作物も含めてAI ロボットが作り出したものや、AI ロボットが提供するサービスを享受するだけで生きていけるということになるかもしれません。

また、これは、すべての方が仕事をしないというわけでもなく、政府が限りなく技術開発を支援しつつ、産業が生産性向上や経営の合理化に努め、効率化も進めることにより、結果として、約一割の方が、社会が必要とする仕事をし続け、そうでない方が自然の成り行きで、仕事をしなくてよくなったのにすぎませんから、さしあたっては、特に問題もなさそうです。

ただ、これは、これで芳しいことではありますが、果たしてこう簡単にいくのかという疑問も出てきそうですし、また、それ以上に、もし、このような仕組みが導入されたとしても、考えなければいけない問題が浮上してきそうですね。

さて、それは、いったいどのような問題でしょうか?

これは、医学部志望の方にもまったく無関係ではありませんが、AO入試・推薦入試の対策を前提とすれば、特に経済学部を志望される方には、このベーシック・インカムのような仕組みが導入されるにしても、その途中の過程で予測される状況を掘り下げて考えていただきたいところですし、また、このような仕組みの導入後に発生しうる究極的に考慮すべき問題に関しましては、大学の学部で言えば、文学や哲学といった人文学部(文学部)に近いところの視点も重要になってくるかもしれません。

これらにつきましては、次回までの宿題として、皆様にも考えていただければと思いますが、次回以降は、その他の学術的な補足やエピソードも含めて、これらの問題をもう少し掘り下げてみていきましょう。

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